当研究所は,臨床・国際保健・医療人類学を基礎として,病と健康に関わる思想や行動を研究するために設立されました.
医療や国際協力の現場で,自分と相手が求めるものの違いに戸惑いを覚えたことはありませんか.
私たちは,その戸惑いに対する納得と,相互理解の上に成り立つ質の高い医療・国際協力に寄与したいと考えています.
与えられた状況と文化的背景は様々な価値観を生み出し,人の生き方はその価値観に左右されます.
医療は個人の生き方にも政策にも大きく影響します.けれども医療の土台である健康観は,ややもすると医療従事者や施政者に傾きがちです.
患者や住民を理解するためには,内部からの視点と外部からの視点,個人に対する視点と社会に対する視点など,様々な視点が必要です.私たちは多くの視点を通じて他者を理解することを目指しています.
医療施設では今日,西洋医学を中心として医療が提供されていますが,同時に医療施設の外では,地域に根ざした伝統医療が巧みに利用されています.
私たちは,西洋医学と伝統医療の知識や技術を相補的に取り入れ,医療の可能性を広げたいと考えています.
私どもの活動が,調査にご協力頂いた方々や活動に興味を抱いて下さった方々の,生き方に対する理解の一助となれば幸甚です.
一般社団法人多文化医療研究所 代表理事 神作麗
2015年6月