当研究所は、健康と文化に関する理解を深めるために、2015年に設立された一般社団法人で、臨床医療・国際保健・医療人類学の専門家を繋ぐことを活動の中心としています。臨床分野や国際協力の現場で、文化の違いに戸惑ったことはありませんか?そもそも、皆さんにとって、文化の違いとは、何を意味するでしょうか?国籍でしょうか?言語でしょうか?宗教でしょうか?私たちは、こうした違いをより深く理解し、相互理解を通してよりよい医療とは何か、模索することを目指しています。
様々な文化的背景は個別の価値観を生み出し、私たちの生き方を形作ります。そのため、これらの価値観を医療サービスの基盤として考慮する必要があると私たちは考えます。臨床医療は、個人の生活や政策と大きく関わるので、医療従事者や政策立案者は、患者や住民に対して「健康とは何か」「どのようにして、それを達成するか」と提案をする際には、広い視野が必要です。そのために、文化に対して深く理解し、多様な個人および集団の視点を理解しよう、という態度が必要だというのが、私たちの基本的な考えです。これらを踏まえて、当研究所は、異なる文化の医療や、生きることの意味に対する多様な視点を提供することを目指しています。
私どもの活動が、調査にご協力頂いた方々や活動に興味を抱いて下さった方々の、生き方に対する理解の一助となれば幸甚です。
一般社団法人多文化医療研究所 代表理事 神作麗