創立１１年目になりました

2015年6月19日に設立した多文化医療研究所は、11年目を迎えます。

臨床医療・国際保健・医療人類学の専門家をつなぐ、という目的のため、当初は私は臨床の専門家、という立場でしたが、その後、JICA 勤務を経て、国際保健（公衆衛生）の専門家と言われることもあるようになりました。現在、ロンドン大学で医療人類学修士コースに通いながら、これらの三つの分野の専門家たちが、同じ問題に対して、いかに違う視点を持っているかに驚かされます。当初は、各分野の専門家が話をすれば、お互いに視野を広げ合うことができるだろうと思ったのですが、ある程度の理解がなければ、話が食い違っているということも気づけないということも経験してきました。医療人類学は、まだ学ぶ側の身ではありますが、少なくとも臨床家や、行政・公衆衛生側が、医療人類学を学ぶにあたり、どこでつまづいて、どこで誤解をするのかが、分かってきました。

それでも、わざわざ、他の分野の専門家と話をしてみよう、と思う全ての専門家が、患者さんやご家族、そして、住民の方々のためになりたい、という思いを持っていることに、私は励まされてきました。良い医療とは何か、という問いに対する答えは各自で異なるとは思うのですが、より広い視野を持つことで、皆様が納得のいく答えを見つけ出し、今よりも少し、日本と世界の医療を良い方向に向けることに貢献できれば幸甚です。

一般社団法人　多文化医療研究所
代表理事　神作 麗

2015年6月19日に設立した多文化医療研究所は、11年目を迎えます。

臨床医療・国際保健・医療人類学の専門家をつなぐ、という目的のため、当初は私は臨床の専門家、という立場でしたが、…